高校生起業家によるレシート買取アプリ!!ONEの評価
今回は、以前10円でレシートを買いとってくれるとして話題になった、ワンファイナンシャル株式会社のアプリ、「ONE」を評価していきます!
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1. 「ONE」とは
レシートを撮影すれば、即現金化してくれるレシート買取アプリです。
2. サービスのカテゴリー
金融、画像認識
3. 背景
近年、人工知能や機械学習、そしてそれらを動かすチップなどの発展により、大量のデータを早く処理することができるようになったからです。そうすることで企業は、顧客のニーズに即した速くて精緻な分析をすることが可能になります。しかし、ここでひとつ問題がおきます。それは、分析するデータが足りないということです。そのため、データに関するニーズは以上なスピードで高まっています。
4. ニーズ
この背景から生まれる、
・データ(特に購買データ)が欲しい!
というニーズをONEは解決しています。
5. ターゲット
ONEの主なターゲットは、
・購買データを使いたいBtoC企業
・お金をコツコツ溜めたい消費者
だと思います。具体的な消費者の特徴などは見つかりませんでした。
6. ターゲット市場
オープンデータ(著作権や個人のプライバシーを尊重した上で取引されるデータ)に市場規模は、推定1.0~1.2兆円の市場規模だと言われています。ちなみに、世界のビックデータ市場は、2020年で20兆円になると言われています。しかし、これはデータの取得から分析、そして分析されたデータを活用しての意思決定までの全てのプロセスを含めているので、この数字と言えるでしょう。
7. サービス内容
当初はどんなレシートでも1ユーザーあたり1日10枚(100円)まで撮影をするだけで現金に変えられるアプリでしたが、サービス停止後から数日後はキャンペーンでのレシート買取に変更し、ガソリンスタンドのレシートに始まって、保険証券の写真と様々なキャンペーンをしています。
2018年8月からは、アンケートに回答してお金をもらうという機能も追加しています。
2018年9月のアップデートでは、残高をコーラや、ブラックサンダーなどの商品券と交換できる「ONE TICKET」という機能を追加しました。これまではお金が溜まった後、ユーザーは出金手数料200円を払って全国の金融機関から出金するしかお金の活用方法がなかったので、現金化の選択肢が一つ増えた感じです。
同じく9月のアップデートで、1日1枚限定でどんなレシートでも買い取る機能を追加(一応復活?)しましたが、この機能が使えない時もあるようです。キャンペーンで買い取る機能はずっと続いていて、今は、スタイリング剤、クラフトビール、IT名刺などの買取をしています。
8. ビジネスモデル
マネタイズの方法は、買い取ったデータを活用したデータビジネスによって収益をあげる方法と、広告を流すモデルの二つあります。
一つ目に関しては、例えば、「女子高生の間では何が流行っていて、何を買っているのだろうか?」のように、ある特定の消費者の購買データが欲しい企業に提供することが考えられます。
二つ目は、レシートを買ったあとの画面に、企業からの広告を出すことで、よりユーザーにあった広告を流すことができます。例えば、ガソリンスタンドのレシートを撮ったユーザーなら、クルマの広告などを流しているようです。
ちなみに、二つ目の広告のマネタイズに関しては、当初は導入していなく、例の騒動以降に付け足されました。
9. 競合
もともとレシートを買って現金化するというサービスは海外にはあったようです。2016年にアメリカのサンフランシスコから生まれたInfoScoutという企業は、Oneとほとんど同じようにレシートを写真で撮って、それをクレジットカードのようなものに現金化してためておく仕組みです。そこまで、バズった形跡はありませんが、今でもサービスは続いているそうです。
アイデアがアイデアのため、なかなか直接的な競合はいないように思えます。ただ、間接的な競合としては、マーケティングリサーチ会社などがあると思います。そもそもONEは購買情報しか扱わないため、消費者が何の目的のためにそれら商品を買ったのかとか、買う際にどのような商品と迷ったのかという購買までの過程の情報は手に入れることができません。リサーチ会社は対照的に、購買情報も含めた、これら購買過程の情報をインタビューなどで手に入れることができます。
10. 差別化要素
ONEの強みは、購買情報に特化していることだと思います。
まず、レシートを写真で撮ることによって、実際にその人が何を買ったのかという正確な情報を入手することができます。インタビューなどでは、正確性がかけていたりするので、ONEから得られる情報は、とても正確な情報源となります。
また、ユーザーが長くアプリを使い続けることで、継続的にある特定の人物の購買情報を追跡することができます。これは、おそらく企業側からして一番のメリットになるでしょう。
11. 現時点での進行度
2018年6月にローンチし、わずか1日でサービスが停止してしまったことはいろんなメディアに大きく取り上げられました。ワンファイナンシャルによると、買い取りを停止するまでの約16時間で、約7万人のユーザーから合計約24万5000枚の買い取り依頼があったそうです。これは、予想の750倍の買取枚数だったとか。
それ以降は、買い取るレシートの種類を限定したり、買い取る枚数1日一枚にしたりと、大幅なサービスの変更をしています。ちなみに現在のユーザーの数は、数十万人単位らしいです。
12. 新たな挑戦
現在高校三年生であるCEOの山内さんによると、ワンファイナンシャルは情報を溜めて運用する"情報銀行"を目指しているそうです。彼曰く、
"情報を運用して生まれたお金をきちんとユーザーに還元し、ユーザーがそのお金を自由に使える流れを作りたい"
とのことです。
今の時点では、ONEに新たな機能を追加するような話はないです。あの騒動の後なのですので、まだまだ現状改善に時間がかかるでしょう。
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評価
以上がONEの概要です!ここからは、ONEを五段階評価していきます!
将来性 (需要の高まりが期待できるか)
★ ★ ★
新規開拓性 (今のサービスを軸に他の領域に進出できるか)
★ ★ ★ ★ ★
独自性 (模倣可能性が低いか)
★ ★
持続性 (全てのプレイヤーが継続的にサービスを使うか)
★
ビジネス性 (儲かる仕組みか)
★ ★ ★
戦略性 (戦略的に経営ができているか)
★ ★ ★
疑問点は二つあります。
一つは、企業はどれだけ購買データが欲しいかということです。それによって、今後どのような種類のレシートを扱うかも決まってくると思います。
二つは、購買データをどのような価格で提供しているかという点です。リサーチ会社よりも安い値段で提供しているかどうかが気になります。これら二つによって、将来性は大きく変わってくると思います。
持続性にはかなりの問題がある思います。
まず、「どんなレシートでも10円で買い取るサービス」と聞いて個人情報登録をしたユーザーをどう説得するかでしょう。そもそも、自らの情報や時間を対価に現金化できるサービスは昔からあります。残念ながら、これらのサービスは怪しく思われることが多いです。
二つ目が、金額の大きさです。おそらく「One Ticket」を導入したのは、そこまでお金を貯めなくても商品と変えられるという点を訴求するためだと思われます。つまり、引き出すまでの額を貯め続けるという途方もない作業に疲れてしまって、サービスを辞めてしまうユーザーを引き止めるための新しい機能だと言えるでしょう。とはいっても、三十円くらいのブラックサンダーを買うために、このサービスを使う人はいないでしょう。
評価点も、二つです。
ONEの最大の評価点としては、やはりアイデアの奇抜性でしょう。レシートの写真を撮るだけで、お金がもらえると聞いたら、かなりの消費者は訴求されると思います。
それに加え、ONEをもとにした新たなビジネス展開も非常に魅力的です。"情報銀行"に実現可能性があるかはともかく、そのようなポジショニングは大企業では取れないでしょう。
これからどのように戦略を練って運営していくのか。高校生起業家のお手並み拝見です。
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